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  • 執筆者の写真藤岡みなみ

sadness


みぞおちの隣に湖がある。深い。広い。濃い青の。

手をつけてみると、とても冷たい。
もしも肩まで浸かったら、芯まで冷えて動けなくなりそうな。
おばあちゃんは、とにかく寒いねん、と言った。

足首まで入ってみると、ひどく熱い。皮膚が赤くなる。
ずっと入ってはいられない。
やけどにずっと触れていたい気もする。

とても冷たいような、とても熱いような、そんな温度の湖がすぐそばにある。
心臓の横にある。
自分から入ってみたり、出たり、隣に座って眺めたり、見ないように背中を向けたりする。
湖に身体すべてを委ねるのは危険だとわかるけれど、この中にいたい気持ちもある。
任されている。

行ったり来たりしながら、さわれるようになっていくのか。
そんなのもおかしいよ、と言っている魚もいる。
憎たらしい青。忘れたくない青。


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