top of page
執筆者の写真藤岡みなみ

AIの女が水着で笑う

なめらかな肌、上塗られた血色感

存在しない女が愛想を振り撒く

生命の対極から


存在しない女になくて

存在する女にあるもの

それが命の面影


存在とは揺らぎ

存在とはそばかす

存在とは怒り

存在とは矛盾

存在とは過去

存在とはわからなさ


生きているかいないかとも違う

死んだ人間にも存在がある


AIには存在がない

存在した貴女は永久に存在する

AIは風にならない

貴女はなる





執筆者の写真藤岡みなみ

更新日:2023年5月30日



ぽきん

どさり

頬に土


やわい花弁に砂利がくい込む

この角度の太陽 初めて見たから

眩しい

痛いくらい


そんな言い方しなくたって

しなくたって 

しなくたって

みぞおちのトンネルの入り口に立って

リフレインを聞いている

それしかできない


全てが台無しになったような気がする

意味がなかったんだ

ひとりずもうだったんだ

あなたは思っている


たしかに折れてるね

ぽきんと

でも折れてるだけ


こちらから見れば咲いている

光沢もあるし

張りもある

寝転がっているのも自由そうでいい


つま先を洗って

しばらく背が高い花瓶にもたれな

折れただけ。

咲いている




執筆者の写真藤岡みなみ

更新日:2023年5月30日


価値ある人間になりたくない

価値ある人間になるものか

にんべんのよこのしましま 檻みたいじゃないか

自分でショーケースに入りたがる魚

切り身になって海を泳ぐ


「すべての人に価値がある」

これも一寸 同意しかねる

価値とか 価値じゃないとか

そのぎらぎら光る測量器を仕舞ってくれ

そしたらちょっと歩こう


なんでもない私で

なんでもない私をひとりじめする

9月の夜風が無料なように

本当に美しいものに値段はつかない

あなたには価値がない

本当に美しいから




bottom of page