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  • 執筆者の写真藤岡みなみ

更新日:1月11日


「すごい夕焼け」の写真の

その絵を描いてみて

空よりもアスファルトの道路が

もっと強烈にオレンジ色だったことを知った

雨上がりの道路は夕焼けより夕焼け


「すごい夕焼け」の空の

その色を塗ってみて

オレンジの中に紫や灰色や茶色や

水色の余韻が潜んでいるのを知った

夕焼けは虹よりも多様多彩


「すごい夕焼け」を分解するその手続き

絵描きよりも絵を描くべきなのは詩人なのだった





  • 執筆者の写真藤岡みなみ

更新日:1月11日



透けたカーテン

幕が上がってほこりが躍る

朝は光が主食

光はそのままでは食べられないので

光を載せる器が必要みたい


ビスケットにかけた蜂蜜

マスカットを切った断面

クリームのいちばん高くなったところ

綿のランチョンマット

つややかプレート

そういうところに集まる


昨日の誤解は香ばしく炒られて

夜は全てマグカップの中に集められて

苦くておいしいもんだね


光のことだけ考えていればいい?

光のことだけ考えていればいいよ


  • 執筆者の写真藤岡みなみ

更新日:1月11日



ポエムにもどろう 

ポエムは人間がもともと暮らしていた星

ポエムは役所に提出される前の名

埋め立てられる前の海

冷める前のスープ


まだ私がポエムだった頃

青は酸っぱくて 夜はざらざらで 

風は眩しくて 明日はいい匂いだった

靴下はいい声で かなしみはうるさく 

あなたは松ぼっくりのように転がっていた

どこにでも


三枚におろされた身体をつなぎ合わせて

船から飛び降りて

何もわからなくていい

帰ろう こんや手ぶらで


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